事故の発生

交通事故が起きた場合は、必ず警察への届け出を行います。また、負傷者がいる場合は、状況に応じて119番し、救急車の要請を行います。
交通事故の警察への届け出には、人身事故と物損事故の届け出があり、交通事故により怪我をした場合は、必ず人身事故として警察への届け出をしてください。物損事故の届け出では、適切な損害額が認められない場合がありますので注意が必要です。

事故日から完治または症状固定まで

交通事故により怪我を負った場合、病院で治療を受けます。症状が完治した場合には、事故日から完治した日までの間に発生した被害者の損害の計算を行い、相手方任意保険会社と示談交渉を行います。
治療を続けても、医学的に症状が良くならない場合もあります。その場合は、「症状固定」と判断されます。症状固定に至ったかどうかの診断は、担当主治医が被害者の回復状況などを確認しながら行います。相手方の任意保険会社が支払う治療費は症状固定日までとなります。

症状固定から自賠責保険会社に対する後遺障害等級申請まで

症状固定後は、相手方任意保険会社からの治療費は支払われません。症状固定後は、後遺症慰謝料を請求します。この場合、主治医に後遺障害診断書と呼ばれる専用の診断書を作成してもらい、加害者の自賠責保険会社に対して後遺障害等級申請を行います。
症状固定から後遺障害等級申請までは、概ね1~2か月ほどの時間がかかります。

被害者請求手続きから後遺障害等級の認定結果通知まで

申請を受けた自賠責保険会社は、一件資料を自賠責損害調査事務所に送付し、調査事務所が後遺障害の有無や程度を調査します。調査事務所は、調査結果と一件資料を加害者の自賠責保険会社へ返却し、自賠責保険会社から被害者へ結果が通知されます。
後遺障害等級申請から認定結果の通知までには、概ね2か月ほどの時間がかかります。

自賠責保険会社の認定結果とこれに対する不服申立て

後遺障害等級の認定結果に不服がある場合には、認定結果に対する異議申立手続きを相手方の自賠責保険会社に対して行うことができます。異議申立後、自賠責保険会社から再度の結果が帰ってくるまでは概ね3~4か月ほどかかります。
異議申立手続きを行っても後遺障害等級の結果が変わらなかった場合は、被害者は、自賠責紛争処理機構への申請か、訴訟を提起して裁判所の判断を仰ぐという手段をとることができます。

損害計算・示談交渉

治療により症状が完治した場合、または納得できる後遺障害等級認定を獲得できた場合には、被害者の損害額を計算します。
完治した場合には、治療費、通院交通費、休業損害、通院慰謝料などの損害を計算し、請求することになります。
後遺障害等級認定を受けた場合には、上記に加えて後遺障害に相当する損害(後遺障害部分)も計算します。後遺障害部分には、後遺障害慰謝料や後遺障害遺失利益があります。
損害計算が完了したら、その後相手方任意保険会社に対して賠償金を請求して示談交渉します。示談交渉には、概ね1か月ほどかかります。

交通事故紛争処理センターの和解斡旋手続きについて

相手方任意保険会社と示談交渉がまとまらない場合、交通事故紛争解決処理センターの和解斡旋手続きを利用することができます。同センターでは、自動車事故の被害者と相手方の任意保険との示談をめぐる紛争を解決するため、同センターから選任された専門家が、被害者と相手方任意保険会社との間に立って和解斡旋手続きを行います。
斡旋手続きの申し込みから、実際に和解斡旋がでるまでは、通常数か月かかります。

裁判手続

示談交渉で金額に折り合いがつかない場合や、自賠責保険会社に対する異議申立手続きでも納得いく後遺障害等級が得られなかった場合等、話し合いによる解決が図れない場合には、相手方に対して損害賠償請求訴訟を提起します。これにより、裁判所に適正な過失割合、損害額および後遺障害等級についての判断を仰ぐことになります。
通常、訴訟手続きへ移行し、裁判上の和解や判決に至るまで、概ね1年ほどの時間が必要になります。